自分は好きでYoutubeをよく見ますが、そんなときに目に入ったのがこの動画。
「パケ死」という言葉がありますが、これはスマートフォンや携帯電話を海外で使う場合に国内でのデータ通信プラン(一定の容量、たとえば月に10GBまでは高速だがそれ以上は低速になる、だけど料金は上限があり、それ以上請求されることはないというのが一般的)が適用されず、キロバイト、メガバイト、パケットという単位で使った分が従量制で請求され、大変なことになるというものです。数万円ですめばともかく、数十万円、数百万円請求されるという話が昔からあります。
最近では海外で提携してる現地の電話会社の回線につながる(ローミングする)ことで上限を設けてる「海外パケット定額」などもありますが、それでも1日あたり2,000円、3,000円と、普段国内で使ってる感覚で考えると高い料金になることが多いです。また、つながりはするけど提携してない海外の電話会社というのもあって、そこを知らずに使ってると、料金は青天井。
この下の写真の国・地域の場合、どこにつながってもOKなので安心ですけど、国内と同じ感覚で使い続けると、ほぼ間違いなく滞在日数x2,980円が請求されることになるわけです。
普通、使ってるときに「どこの会社につながってるかどうか」なんて、あまり気にしないですよね。このYoutubeのスーツさんも、船のローミングというあまり馴染みのないものに繋いでしまい、いっときは700万円近い通信料の支払いを覚悟することになってしまったわけです。まして日本近海を走ってる船で入った電波が実はローミングだったなんて、気づきづらいと思います。
それを避けるためには「ローミングをオフにしておく」「機内モードにしておく」などの対策をしておくことが、海外旅行サイトやガイドブックで推奨されています。
でも正直、そのへんを意識するのは面倒くさくないですか? また海外にいても緊急の電話が入ることはあり、海外滞在中にずっと機内モードにしていると、帰国してから解除したときに恐ろしい数の着信履歴が表示されるのを見て、青ざめ慌てて電話することになります。
メールはいまどきどこのホテルでもwifiがつながるので、1日に何度もチェックする機会はあります。でも電話だと、海外にいる間ずっと機内モードにしてると、まったく気づきません。電話番号だけで送れるSMS(ショートメッセージ)も同様です。しかもSMSは日本でも海外でも受信は無料というのは普通ですから、受信くらいは出来るようにしておきたいものです。
では面倒くさがりや、設定をし忘れても、パケ死しないで電話を繋がる状態にしておくには、どうすればいいのか?
いわゆる格安スマホの通信会社、MVNO(仮想移動体通信事業者)を使うのがベストです。ドコモやau、ソフトバンク、ワイモバイル以外と契約すると考えるのが一番わかりやすいでしょう。
なぜなら、MVNOの契約・SIMカードというのは、海外では電話とSMS機能は使えるが、インターネット接続は使いたくても使えないものがほとんどなんです。
たとえばLINEモバイル。
ホームページを見ると、こんな事が書いてあります。
ドコモ回線専用のオプションです。無料で利用できる音声通話SIM用オプションで、海外に行った際に海外通信会社の携帯電話回線を使って、電話とSMSの送受信ができる機能です。通話料(滞在先により異なる)⋅SMS送信料(100円/通)がかかります。ご利用限度額は50,000円(税抜)です。月間利用額が利用限度額を超過した場合は、当オプションの提供を停止し、同月末日までの間このオプションをご利用できません。
通話やSMS送信をすると最大で50,000円まで使えるが、その時点で一旦止まるということです。使ってなくカバンポケットにしまってる間もいろんなデータ送受信をするネットと違い、電話で話すのは「今はお金がかかってるな」と意識するから、これは問題ないでしょう。(スーツさんのように日本の電波を使ってると勘違いして長電話したとしても、最大で50,000円なので、パケ死よりはマシですね)
このホームページの解説には、どこにも海外でネットを使うことに関する注意がありません。ということは、海外ではインターネット接続が使えない、ということでもあります。日本でLINEモバイルのSIMカードを入れて使ってるスマートフォンは、海外では何もしなくても普通に電波は入ります。時計の設定時間も自動で現地の時刻に切り替わります。
でも、それだけ。電話を一切せず、SMSを受信するだけなら、1円も追加料金は発生しません。メールチェックもネットサーフィンも何もできませんけどね。
LINEモバイルのSIMであっても、海外でそのままではLINEも使えません。LINE自体はインターネット接続のサービスですので。
これはmineoでも同じです。
こちらのホームページには、こう書かれています。
ソフトバンクプラン(Sプラン)を除き、国際ローミング対応機種で音声通話のみご利用いただけます。
インターネットはご利用いただけません。
しっかり「インターネットはご利用いただけません」と書かれています。自分のmineoのSIMカードを海外でネットが使えるようにする契約自体が存在していないんです。
これらMVNOの回線を使っていて、海外でも屋外でインターネットを使いたい場合、モバイルルーターや専用のSIMカードを用意しないといけません。でもそれは自分で意識して使うわけですから、やはり「パケ死」とは無縁ですよね。「パケ死」は海外でもネットに繋がるからと、普段使っているスマートフォン(ガラケーも同じ)で国内のときと同じようにインターネットを使うことで起きます。インターネットに繋がらないなら、そもそも「パケ死」自体、起きようがないのです。
自分の使ってるandroidスマートフォンはSIMカードが2枚使えますので、今は1枚目はLINEモバイルのSIMカードを入れて使い、2枚目は海外用のSIMカードをその都度入れ替えて使っています。海外に行って日本国内同様にそのままネットにつなごうとすると、スマートフォンは1枚目のLINEモバイルのSIMでネットにつなごうとしますが、契約上使えないので、つながりません。設定を意識的に海外用に用意した2枚目にネット接続を切り替えて使います。当然「パケ死」は起きようがありません。
当たり前ですがThinkPad X1 CarbonやThinkPad X1 yogaをスマートフォンにつないで使うテザリングも、MVNOのSIMカードの場合、海外では利用不可です。日本国内では当然使えます。
一般的にはMVNOのSIMカードを使う目的は「インターネット接続料金の節約のため」だと思いますが、実は海外での「パケ死」を確実に防げるという利点もあるわけです。
ThinkPadにはPC自体にSIMカードを挿し込んで、PCから直接インターネットに繋げられるWWANの機能をオプションでつけられます。
もしそこに海外ローミング可能なSIMカードを挿し込んで、そのまま特に考えずに海外で使ったらどうなるか、考えるだけでちょっと怖いことになってきます。これらノートPCにこそ、海外でネット接続ができないMVNOのSIMカードを挿し込んでおくべきなのかもしれません。
→自分が実際に海外で電波を繋いでも「インターネットに接続されない」からこそ、なんの請求もなかった2社のSIMカードはこちら